仕事、食べ物、セックス、ギャンブル、薬物の5種類のアディクション及び強迫性障害は全て一つの病気の異なる症状です。アルコールも、万引きも、覚醒剤も、モルヒネも、ADHDもADDも自閉症や殆どの学習障害、トーレット障害、アスペルガーも全て同じ病気の異なる症状です。これらの全てを含む病気を今日の医学界、科学界では報酬欠陥症候群(RDS)と呼びます。
報酬とはいい気分のことを言います。脳の中で神経伝達物質が受容体に適切に受け取られることでいい気分が得られます。人口の中で一部の人達にいい気分(報酬)を味わえない条件を持って生まれて来ている人達がいます。その人達には脳の中で神経伝達物質という化学物質が十分存在しなかったり、それの受け渡しが十分行えないということが起こります。
アディクションの原因は家庭や生育環境ではありません。誰も完璧な家庭環境に育った人はいません。薬物でもありません。ある人々はアディクションになりますが、その他の人々は同じような活動をしたり、同じ薬物を使ったりしてもアディクションにはなりません。なぜでしょうか?1990年、テキサス大学のDr.ブラムによってアディクションを起こす遺伝子の欠陥が発見されています。それがドーパミンD2受容体のA1対立遺伝子です。
12ステップのグループカウンセリングはアルコール依存症のためにだけあるものではありません。薬物依存症のためだけにあるものでもありません。それは気分のいい状態を得られない遺伝子の欠陥(報酬欠陥症候群)をもって生まれて来た全ての人々のためにあるものです。
アディクション形成には4つの分野があります。殆どの先進諸国においてアディクションは死亡と犯罪の主要原因です。主要な死亡原因というと通常心血管障害、ガン、脳卒中だと言われると思いますがそれはうそです。主要な死亡原因はアディクションです。50%の交通事故死、49%の殺人、56%の過失事故死、35%の自殺、65%の溺死。血液中に注射器を使って薬物を取りこむような物もあります。エイズの原因になり、もちろん死の宣告になります。様々な死に至る原因があります。その依存症にかかわる死亡に関してはアディクションの本人でなくても起こるわけです。
また、犯罪の主要な原因はなんだと思いますか?94%の重罪逮捕は薬物に関係しています。アメリカに於いては軍隊に所属する全ての兵隊の数よりも薬物が原因で刑務所に入っている人の数の方が多いです。アメリカは世界でもかなり大きい軍隊を持っています。政府はそう言うことを話したがりませんが、死亡と犯罪の主要な原因はアディクションです。
正常な人がアルコールを飲むと体内でアセトアルテヒドという物質に変わります。そしてそれが分解されてアセティックアシッド(酢)に変わります。そしてアセティックアシッドが二酸化炭素と水になり体外に排出されます。今度は遺伝子の欠陥がある人の場合を考えてみます。この人がアルコールを摂取するとまず体内でアセトアルデヒドが作られます。ここまでは正常な人と同じ反応が起こります。そして次にこれがアセティックアシッドに分解されます。ここで問題が起こります。遺伝子の欠陥がある人にはTHIQと言うモルヒネに似た物質が作られます。これは脳に到達し、決して無くなることはありません。これは世の中で最も依存性の強い物質でこれがその人をアディクションにさせてしまいます。この物質が脳の中で作られるのは遺伝子の欠陥を持った人だけです。この化学物質THIQはどんどんと欲求を大きくしていきます。50年間一滴もお酒を飲まないで我慢したとしてもこのTHIQはなくならず次のアルコールが体内に入って来るのをひたすら待っていて一口飲んでしまうと元に戻ってしまいます。だからアディクションには治癒が無いわけです。ですが、回復はあります。このTHIQの正式な名称はテトラヒドロアイソクイノリンと呼ばれる物質です。長いのでこれをTHIQと呼んでいます。これが世の中で最も強いアディクションを起こす物質です。
アディクションの治療で最も重要な役割を果たすのは12ステップにもとづくグループカウンセリングで、アディクションの人々の否認のメカニズムを断ち切ることが回復へ向かう第一歩になります。自分だけが特別な存在ではないということを自覚する必要があります。12ステップにもとづくカウンセリングが否認のメカニズムを断ち切り回復へ向けての意欲を出させる重要な役割を担っています。
1990年テキサス大学のDr.ケネス・ブラムによってドーパミンD2受容体の対立遺伝子という遺伝子の欠陥が発見されました。これが全ての5種類のアディクション、それから強迫性障害(発達障害)を持った子供達の原因になっているものです。この対立遺伝子がある人において、先ほどのTHIQという化学物質が精製されることになるわけです。その遺伝子は現在の医学ではだれも取り除くことは出来ません。しかし、そこには回復は有るわけです。そしてある人達が言うには回復は治癒よりも素晴らしいことだと言います。回復には専門的な治療が必要です。
アディクションと糖尿病では何が違うのでしょうか。アディクションは遺伝子の欠陥が原因です。遺伝子の欠陥がない人はアディクションにはなりません。糖尿病も同様に遺伝子が関わっている病気で遺伝子の問題がない人は糖尿病にはなりません。両方とも治癒することはありません。適切な処置をしないと死に至る病です。しかし、両方とも適切な処置を行えば生涯回復し続けることができます。両方の違いはたった一つ、社会がアディクションを悪い人、モラルのない人だと言います。そして糖尿病を病気になってしまってかわいそうな人だと言います。実際は何も変わりません。他にも両方に共通したことがあります。気分に影響する化学物質に対するアレルギー反応であるということです。それにアディクションが起こります。糖尿病に関連する化学物質は炭水化物、六単糖です。これは気分に影響する薬物です。他のアディクションに関しては、他の様々な種類の薬物にアレルギーを起こすわけです。両方は全く同じ病気です。
1990年にテキサス大学のDrケネス・ブラムという博士によってアディクションの遺伝子の欠陥が発見されています。私はDrブラムと長い間色々な研究を行ってきました。ケネス・ブラムという先生は松果体のメラトニンを発見したことで有名な人でもあります。猿を使ったアディクションの実験で、猿がレバーを引き続けるような研究のことを聞いたことがありますか?それはDrブラムの研究です。そして一番最近の研究発表は日本語版に訳された「報酬欠陥症候群」という論文です。
アディクション治療は効果があります。グループカウンセリングが最も重要な方法です。グループカウンセリングと各カウンセリングは効果があります。効果が有りますけど、十分ではありません。一つ非常に大きな問題があります。一番大きな問題は、カウンセラーの問題ではありません。建物でも設備でもありません、食べ物でもありません、自助グループでもありません。それは治療継続率の問題です。治療継続率というのはアディクション治療を始めた人たちの中で何人が最後まで治療を継続することが出来るかということです。これがアディクション治療の世界で最も重要なことです。
恐らく殆どの日本国内の治療施設は継続率が60%前後だと思います。治療継続率というのは成功率とは違います。治療を始めた人のうち何人が治療を最後まで継続することが出来るかというその割合です。30日目に何人残っているか、6ヶ月の治療プログラムだとすると最後の時点で何人がそこまで継続する事が出来たか、それが治療継続率です。恐らく60パーセントより高い割合はないのではないかと思います。特にこのアディクション治療に関しては、最初の3.4週間の期間内で多くの人たちが治療を離れてしまいます。そして途中でこの治療プログラムから離れてしまった人は100%元の状態に戻ってしまいます。
私達は、カウンセリング、グループカウンセリングこういったものが効果的だということは十分知っています。しかし、そこにアディクション患者達がいなければ、それを行うことは出来ません。研究ではこの60%の治療継続率を95%にまで引き上げることが可能なことを示しています。そして医学、科学の世界でこれが証明されています。これはすごく大きなニュースだと思います。アディクション治療センターは選択権があります。3つの効果的な治療法があるのですが、それらを拒否して60%に甘んじるか、それらを取り入れて治療継続率を95%にまで引き上げるか。私達は沢山の研究をしてきました。何千何万ものアディクション患者を対象にです。滞在型の依存症治療施設で行った研究です。これらの治療法を加えて行った場合、治療継続率は95%にまで上げることが出来たわけです。これは私の意見でも、政治的なものでもありません。これは科学的に証明された事実です。
一つ目の治療法はオリキュロセラピーと呼ばれるものです。これは非常に安価に利用できる治療法です。カウンセリングがアディクションを治療する手段になります。オリキュロセラピーはアディクションそのものを治療しません。オリキュロセラピーはその治療継続率を向上させる働きをします。患者を治療プログラムにとどめさせ、治療を継続させることをするわけです。このオリキュロセラピーはよく針と間違えられます。耳針と間違えられますが、全く異なるものです。4つの脳神経と3つの脊髄神経に関係しています。オリキュロセラピーでは針も用いません。7つの神経終末に作用します。13~4センチほどの大きさの器具に小さなバッテリーを入れて手に持って使います。
1990年、遺伝子の発見があったあとに行われた研究のことです。フロリダで行われました、4300人のアディクション患者を対象に研究が行われました。その結果マイアミに世界で初めて薬物裁判所が出来ました。今現在では何千もの薬物裁判所がアメリカやその他の国々にも作られています。それもすべてこの研究結果によっています。3年以内の再逮捕率、初犯の薬物使用逮捕者の3年以内の再逮捕率が通常75%であったのがこの療法を加えて研究を行った結果3%に下がりました。薬物で初めて逮捕された人たち4300人を対象に選択権を与えました。刑務所に入るか。1年間のオリキュロセラピーを加えた治療を受けるか、といった選択を与えてその結果を見ていったわけです。その結果通常75%の再逮捕率が3%になったんです。そしてその研究報告が行われた後、1993年にアメリカ政府の国会でこういった報告が行われました。その結果、まず最初の薬物裁判所がマイアミに設立されてその後何千という薬物裁判所が世界中に設置されました。
日本には薬物裁判所は一つもありません、なぜでしょうか?アメリカには約2万の薬物治療プログラム(施設)が存在します。日本にはどうですか?いくつ依存症の治療センターがありますか?どうして日本には100くらいの依存症の治療センターしかないのでしょうか?アメリカには2万くらいの治療センターが有るわけです。私達はアディクションの治療センターで治療プログラムを最後まで受ける治療継続率に関する研究を行いました。これは今まで行われたアディクションに関する研究で最大規模のものです。2000年の11月に行われました。これは60%の治療継続率というのをたった10日間のオリキュロセラピーの治療を加えて行っただけで治療継続率を96%にまで上げました。他にもいいニュースがあります。治療には数分間の時間が必要なだけです。誰でもこれを用いることが可能だと思います。多くの治療センターではこのオリキュロセラピーが用いられています。オリキュロセラピーはアディクションを治療するわけでは有りません。アディクションを治療するのはカウンセラーが行うわけですけれど、その治療を継続することを可能にするのがオリキュロセラピーになります。
他にも治療継続率を向上させる方法があります。それがトルクリリーステクニックと呼ばれるものです。これはカイロプラクティックの世界で用いられている特別なテクニックで、神経学的なアプローチに特化したものです。これは脳と脊髄の働きに対するものです。この分野に関しては沢山の研究があります。研究は医学界の大変有名な情報誌「分子精神医学」に掲載されました。トルクリリーステクニックでは治療継続率98~100%という結果が出ました。
そしてもう一つ最後にあるのがアミノ酸のサプリメントを用いた療法です。アミノ酸を用いたアディクションの治療もやはり95~100%の治療継続率を達成しました。何か質問はありますか?
日本はアメリカに比べると25年、30年アディクションの世界では遅れています。ですけど日本は他のほとんどの面では世界の最先端を行っている国なので、頑張って欲しいと思います。国内でニューロオリキュロセラピーという療法を普及させようとしている組織があります。日本アディクションプロフェッショナル認定協会の方でもそういったプログラムを提供する予定です。そしてはじめに話があったように、世界的な認定アディクションカウンセラーの資格を提供しているICRC、こちらの資格を取得することも可能になりました。皆さん今日はお忙しい中大勢お集まりいただきまして本当にありがとうございました。特に最後まで聞いていただいた皆様方ありがとうございます。
Q.)アディクションは遺伝子的な問題だと言うことですが、オリキュロセラピー、トルクリリースはどのように治療効果があるのですか?
A).アディクションを解消するために一番大事なのが、やめようとするときに起こってくる、うつや不安と言った状態が強く起こってきます。それプラス下痢、熱、腹痛、頭痛などのあらゆる症状、それを押さえることが大事なんです。うつや不安を抑える治療という部分でこういったものが役に立つわけです。アディクションの治療はどんなに効果のある治療でも、そこに患者さんが残っていなければ効果が出せないわけです。それを可能にするのがこの療法です。様々な治療法が調査されてすごく効果を現したのがこの3つの療法になります。神経伝達物質というのが今現在86種類見つかっているのがあります。それらが正しく受け渡しが出来ていかないといい気分が味わえない、いい気分が味わえないとアディクションの治療を受けている人たちは、どうすればいい気分になれるか分かっているわけです。そこを出てまた薬とかを使えばいい気分になれる。そうするとそこに留まることができない。そこを補っていくのがこの療法になります。報酬欠陥の報酬というのはいい気分と言うことなんです。それを可能にさせるのがこの療法です。以前に出版された本で「Staying Clean & Sober」という本がありまして、今現在は、実際の本ではなくてEbookネット上にあるような本なんですけど、それを読むとその部分がよく説明されています。